例えてみよう|すべての書く人を応援する広告コピー研究所 #09

みなさん、こんにちは!

「すべての書く人を応援する広告コピー研究所」新人研究員のモリシタです。誰かの「胸に刺さる一行」を書くために、世の中にあるお手本から「法則」を抽出し分析していく連載の第9回目! 私が見つけた「法則」を引き続き発表していきます。

さて、早速コピーの紹介です。皆さんは共通点を抽出し、どんな法則かを説明できますか?

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ビールと同じくらい、
「とりあえず」が似合う。

(セメダイン)

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※画像出典:東京コピーライターズクラブ(2016)『コピー年鑑2016』宣伝会議

さあ、わかりましたか。今回の法則はこちらです。

「例えばの法則」です。

上記のセメダインのコピーができた工程を想像してみると、まずはとある事柄を俯瞰して「そもそもこれってこういうコトだよな」と、考えることから始まっていると思います。

→ものが壊れたら「とりあえずこれ」というセメダインの王道感

→居酒屋に行ったら「とりあえずこれ」といえば「ビール」

→つまり、セメダイン≒ビール かも!

ちなみに両方ともイメージの色が「黄色」という点で共通しています。これを発見したコピーライターの方の視点がすごいですね。

他にも、「例えばの法則」を使ったコピーの例をこのようなものがあります。

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松茸が生える場所は決まっている。
東大生が生まれる場所も決まっている。
(Z会の通信教育)

「子供をチャイルドシートに乗せない」のは、
「子供が親を投げつける」のと同じです。

「検診、行きなよ。」
あなたの言葉も、ひとつの医療です。
(Think Pearl)

スキンケアって、メンタルケアかも。
(常磐薬品工業)

雨は、地球が生んだ最初の彫刻家だ。
(ハワイ州観光局)

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コピーをつくってみよう

ではここで、突然ですが「例えばの法則」を使ってコピーをつくるクイズを出題したいと思います!

次のサービスの枠組みを「そもそも〇〇な仕事」というように大きな枠組みで抽出してみてください。

それでは問題です。

タクシー運転手 = 「そもそも〇〇な仕事」

というフレームで考えてみてください。

答えは、実際に広告コピーとして世に出たものになっています。

さて、もうわかりましたか?

答えはこちらです。






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「○○って店、わかります?」
「できるだけ急いでほしい」
「前の車を追ってくれ!」
基本的に、人助けの仕事が多い。

密室で、1対1。
よく考えれば、
とても高度な接客業だ。

(日の丸交通)

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※画像出典:東京コピーライターズクラブ(2015)『コピー年鑑2015』宣伝会議

「そもそもこれって?」ということを考えるだけでコピーになってしまうんです。これを別の物に例えると、また違ったコピーが考えられそうですよね。いろいろ表現を試してみるとおもしろいかもしれません。

お笑い芸人に学ぶ例える技術

「例える技術」をこの世で一番うまく使いお金を稼いでいる人たちは、芸人さんではないでしょうか。

くりぃむしちゅーの上田さんの「例えツッコミ」は、短く的確で、しかもおもしろいという三拍子そろった最強のコピーなのではないかと思っています。

ちょっとだけ紹介します。

レベル200のテトリスか!
(速いものに対してのツッコミ)

台湾の料理か!
(器の小ささに対してのツッコミ)

大雨の時のワイパーか!
(激しく動き続けてる状況に対してのツッコミ)

カンボジアのニュースか!
(何を行っているかわからない人に対してのツッコミ)

しつこいよお前は!エイリアン2か!
(しつこい人に対するツッコミ)

この瞬発力は絶句ものです…。芸人さんがコピーを本気で考えたら、とんでもないものが生まれそうです。

では、なぜ「例え話」はおもしろいのか?

例えることの一番のメリットは「伝えやすい」ため「共感を生みやすい」ということです。

「白い雲」と言われるよりも、「漂白剤で洗ったTシャツにのように白い雲」の方がイメージがより具体的です。

「キレイな星空」と言うよりも、「ブリリアントカットのダイヤモンドをいっぱいに敷き詰めたような星空」と言われた方がよりすごさが伝わります。

人はちょっとの「驚き」と「そういえばそうだよね」という「納得感」が得られた瞬間、笑ったり共感したりします。「例えばの法則」は、具体的に伝えられるが故に、おどろきと納得感がつくりやすいのです。お笑い芸人さんはその点に関して突出したセンスを持っているんですね。

例えられる要素

「例え」を簡単につくれる方法を少しだけご紹介します。

①似た形を探す

おまんじゅうみたいに丸い…
平成最後の夏の入道雲のような…

②似た色を探す

熟れたリンゴのように赤い…
秋の訪れを感じさせるような葉っぱのように青い…

③似た音を探す

蝉の鳴き声のように騒々しい…
図書館の中で聞こえるカップルのヒソヒソ話のような…

④似た触感を探す

去年の夏に獲ったカブトムシのように硬い…
母に迎えに来てもらった帰り道に握った手のように柔らかい…

⑤似た動きを探す

実家で飼っている亀の歩行速度のような…
アカネトンボのように俊敏な…

⑥似た状態を探す

異国の地に迷い込んだようにあたふたとした…
カップ焼きそばのキャベツが蓋にこびりついたような…

などなど。代表的な項目をあげましたが、もちろん他にも例えられる要素はたくさんあります。「意外性」のあるおもしろい「例え」をぜひ探してみてはいかがでしょうか。

オリジナリティの可能性

広告コピーや文章を書いていると「どこかで同じ表現見たな」という既視感に襲われることが度々あります。つくり手としての理想は「すでにあるもの」ではなく、オリジナルなものを生み出すことです。

しかし、これがいかに難しいことかを皆さんは重々ご存知かと思います。

そこで「例えばの法則」が活躍します。

対象のものはひとつでも、その「例え方」は多種多様です。リンゴについて書く時は、「赤いもの」という共通項を多くのことがらの中から見つければいいので独自性が出しやすくなります。

私は、そこに新しい表現のヒントがあると踏んでいます。自分の経験の中から導き出された「例え」を使えば、他の人には思いつかない新しい一行が生まれます。

ひとつの物から無限に世界を広げることができる「例える技術」は、身に付けることができればきっと書く人の大いなる武器になることでしょう。

「オリジナリティ」はこれから大切になってくる要素ではないかと考えています。

昨今、情報が整理された文章だけであれば機械が一瞬で作成してしまうという事例がたくさん出現しています。その背景は、「読みやすい文章」を書くためのテクニックがマニュアル化可能なため、練習すれば誰でもできるようになり機械でも簡単につくれてしまうからです。

そのため「自分が自分であるがゆえに、価値があるのだ」という状況をつくりだすことに、今後より意識を傾けることが重要かもしれません。

またライティングに限らずなんらかの選抜試験、就職活動、会社での競合プレゼンなど、自分にしか出せないキャラクターをしっかり出し伝えることが決定打になり得る状況は少なくありません。その際には多くの候補者から「まず埋もれないために」オリジナリティが有効になります。

自身のオリジナリティを構成するのは、性格、得意分野、得意な文体などをはじめ、生まれ育った環境からこれまでの人生などのすべての要素です。

それをもって過去と競合を分析し、自分が頭一つ抜るためのポジショニングを探す。そしてそのポジションが定まったらそれをどう尖らせ、どう表現し伝えていくかを考える必要があります。もちろん、文章を書く際には特定の条件下でお客さんの利益に貢献することなどが前提にはあると思います。

今回紹介した「例える法則」は、そんなオリジナリティを出すための可能性があるテクニックです。

極端な話かもしれませんが、「オリジナリティ」に関してちょっとだけでも意識をする書き手が増えていく世の中になると、受け取る側も楽しめる機会が増えるかもしれませんね。

あなたにしか書けない一行を探しに行きませんか?