岩崎夏海が言う「文章を劇的に磨くたった一つの確実な方法」とは

日本語の本質は虚構である

 

なぜなら日本語は大和言葉と中国漢字のミックスから生まれ、外来文化の影響を受け変化する日本文化とともに、大きく移り変わってきたからである。

日本語の変化は想像以上に早くドラスティックであり、そういった特徴を有するため、数百年前に書かれた文章はもとより数十年前の文章ですら読める現代人は少ない。

また若者言葉として知られる「チョベリバ」や「それな」といった新語は、生まれては消える周期を繰り返す。

その現象は、まさに日本語らしさ(虚構)といえる。

 

 

一方、日本語の中にも唯一古びない言葉が存在する。

田舎言葉と翻訳言葉である。

例えば、ヘミングウェイの『武器よさらば』を翻訳した大久保 康雄の翻訳言葉や、筒井康隆が書いた『馬の首風雲録』に出てくる田舎言葉は、50年ほど前に書かれたものにも関わらず現代人も理解できる文章である。

このように日本語は「虚構」と「不変」という二面性を持つため、我々は文章を書く際、これらの選択に常に悩まされるわけである。

そして虚構であり不変である日本語の使い方の手本となる作品は世の中にいくつかあり、文章を劇的に磨くたった一つの確実な方法はそうした作品の写経であると

「第3回明日のライターゼミ」講師の岩崎夏海さんは述べた。

 

岩崎夏海

作家。1968年生まれ。 東京芸術大学建築科卒。 大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。 放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』等、テレビ番組の制作に参加。その後、アイドルグループAKB48のプロデュースにも携わる。2009年、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を著す。2015年、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』 。2018年、『ぼくは泣かないー甲子園だけが高校野球ではない』他、著作多数。

 

 

「良い文章」は本質を捉えているかどうか

 

 

良い文章は「テーマが良く」「切り口が良く」、そして最後に「文章の上手さ」がくると岩崎さんは言う。

 

 

岩崎さん「世間の空気を読んだ文章は空振りする」

情報社会においては必然なのかもしれない。

インターネットが普及したことで、誰もが簡単に情報を入手できるようになった。そうして大多数が入手した情報が世の一般論となり、世の空気となる。

となると世の空気の源である情報を改めて見たとしても、読み手の心は響かない。即ち、世の空気を読んだ文章は受けないのだ。

今、求められるのは、まだ誰も知らない情報である。本質に迫る情報、鍵を握る情報、裏の情報・・・そうした世に出ていないであろうテーマ、切り口から書かれた文章こそ、良い文章として評価されるのだろう。

もはや情報収拾のためだけの文章は求められていないのだ。

 

 

では「文章の上手さ」とは何か。
岩崎さんは以下のように考える。

 

 

これらに共通して言えるのは「読者に最後まで読ませ満足させる文章に必要な要素」である。

 

  • 分かりやすさ:自分が理解しているか
  • 美しさ:見開きの美しさ、目で読む人と耳で読む人に対し配慮できているか
  • リーダビリティ:次を読みたいと思わせる文章か
  • 世界観:ファンを作れる文章か

 

一般に文章は読む相手がいて、初めて成り立つ。そして相手が読み終え、満足することで文章は完成する。

従って文章を書く(完成させる)プロとして、ライターは読者を落胆させることはあってはならない。そのためにも「文章のうまさ」は十分条件ではないが、必要条件といえるのだ。

 

また文章構成も重要であると岩崎さんは強調する。

 

 

岩崎さん「読者は最後閉じられた形でなければ満足しない」

閉じられた形とは、即ち「明確な結論」である。

読者は読んだ後に達成感や何かを得たいと願っている。その欲求を満たし「満足させる」ためにも「明確な結論」を述べ閉じられた形にするのは重要な要素である。

ただ、人は「言い切る」ことに対し恐怖を抱きやすい。なぜならそこに責任が伴うからだ。どうしても逃げ道を作りたくなる。「~~だと思う」「~~ではないだろうか」など開かれた形で終わることが多い。

しかしそれだと、読者は満足しないし、ファンもアンチもつかない。誰も興味をもたないという最悪なシナリオで終えることになる。

確かに閉じられた形にするには勇気もいるし、努力も必要である。だからこそ、結論を言い切ることはプロのライターにとっても不可欠なスタンスとも言える。

文章の終わり方にはライターとしての覚悟も問われるのだ。

 

 

課題で突きつけられた現実

 

残り30分となり岩崎さんはある課題を出した。

 

【課題】
桃太郎を取材したweb記事を作成。あなたがライターとなり、桃太郎の一連の行動・出来事をWebニュースの記事として書いてください。
字数:1000字程
時間:10分

 

ぜひともこの課題に挑戦してほしい。

恥ずかしながら私は10分で文章を完成させることができなかった。10分で新しい切り口から構成を考え、文章にする。

「瞬発的な発想から一気に書き上げる文章力がなければライターの世界では生きていけない」という現実を突きつけられたように感じた。

そういえば、振り返ると講師の方々は誰もが短時間でアウトプットする姿を講義中に見せていた。

 

 

このレベルなのだ。
まだまだ足りない。

「文章を劇的に磨くたった一つの確実な方法は写経である」

明日のライターゼミは第1期から始まり、講義はすでに27回目にもなるが、それでもなお新しいことをインプットする貴重な機会を頂いている。

今回も学んだことを肝に銘じ、日々精進していきたい。

 

「明日のライターゼミ」の入会はこちらから(途中からの参加でも初回からの講義動画をご覧頂けます)

 

Photo by くりこ(@KURICOPY

ABOUTこの記事をかいた人

公受裕樹

金沢大学医学部医学科卒。高校3年間で100冊以上の参考書を学ぶ。大学では教育に興味を持ち学習塾を設立。現在は、精神科医と並行し「勉強方法辞典」、「ペンペン先生」を運営。全国の学生に勉強方法を伝えるべく活動中。