田中泰延さんが言う「物書きは調べることが9割9分6毛」を実践してみた話。

  1. 「書けないと感じた人は必ず書ける。書けないと感じるのは、書けるものだけだからだ」

これは田中泰延さんが講義中に紹介してくれた、三田文学編集長・読売新聞読書委員の若松英輔さんの言葉です。

 

世の中に出ている素晴らしい文章を読めば読むほど、僕は書けないと感じてしまう。

そんな悩みを抱えてしまったのは、田中泰延さんの講義が原因である。

何を偉そうに悟ったようなことをのっけから書いているのかとお叱りを受けそうですが、正直に自分の心象を吐露すると、冒頭のような状況(スランプ?)になっています。申し遅れました、明日のライターゼミ(以下、明日ゼミ)第4回の登壇レポート担当みる兄と申します。普段はサラーリーマンをやってます。

 

というのも、5歳さん編を書いたときは、ご本人に「キライじゃない。むしろスキ」と思っていただける構成イメージを持ち、講義を受けていました。しかし、田中泰延さん(以下、泰延さん)の登壇レポートは、明日ゼミ主催の西島さんのステキな対談記事がすでに存在しており、どんな内容で書けば僕が書く意味があるのだろうか…と頭を悩ませ、筆が進まぬまま時間が経ってしまった。

 

前書きで文章が書けない理由をつらつらと語っていても仕方がないので、今回のゼミのタイトル「物書きは調べることが9割9分6毛」を身をもって体現するべく、過去の泰延さんのインタビューや寄稿された記事を片っ端から読むことにしました。(以下僕の好きな記事の抜粋です)

 

仕事のやりがいって、ホントに存在するの?|青年失業家・田中泰延のはたらく論(Dybe)

「エントリーシートはキャッチコピー」(アイスム)

あなたの機嫌がいいと、世界は機嫌がいい【寄稿】田中泰延(キャリアサプリサプリ)

電通から「青年失業家」に転身した理由|ゲスト田中泰延 (アドタイ)

田中泰延のコラムはなぜ、あんなに長いのか【へんしゅちょコラム】(街角のクリエイティブ)

田中泰延が会社を辞めたほんとうの理由、迷走王ボーダーとブルーハーツ(Re:milnder)

 

これらの記事には、泰延さんご自身の経験をもとにした様々な事象が書いてあった。

・なぜ「青年失業家」になったのか?

・電通に入社した時の話。

・早稲田時代の生活や友人のこと。

・ひろのぶ党の党首としての存在…。

・泰延さんが感じる豊かさや楽しさや「機嫌のよさ」について。

 

ちゃんと泰延さんについて調べるまでは、「元電通のおもろいコピーライターの人」という表面の印象しか持ってませんでした。しかし、過去のインタビューや寄稿記事を調べることで「本質を分かりやすく言葉にしてくれる物書きの人」と見方がガラッと変わりました。西島さんが街角のクリエイティブにて執筆のオファーしたのも納得です。

 

ここまで「個人」について深堀して調べたのは、泰延さんから以前出された課題テーマ「明智光秀」以来です。僕の中では泰延さんは明智光秀とほぼ同格の位置づけになりました。ということは西島さんが織田信長になってしまいます。お二人の中で本能寺の変が…この脱線の流れは縁起が良くないので、ここらへんで止めておきます。


閑話休題


ゼミの登壇レポートを書く前に、登壇者の泰延さんについて「調べること」をしたら、ようやくエンジンがかかってきました。泰延さんが講義中に伝えていただいた言葉を解釈し、僭越ながら登壇レポートを”随筆”として書いてみます。

 

 

泰延さんが明日ゼミで僕らに伝えてくれたこと

泰延さん「随筆とは何か、定義をはっきりしよう」

泰延さんに問いかけられるまで、文章を書く際にそれがどういう文の種類なのか? 僕は全く意識していませんでした。その問いについて泰延さんが丁寧に解説してくれます。

 

泰延さん「世の中には、現実の出来事=事象がある。それに対して、自分の考え=心象というものがある。事象と心象の交わるところに生まれる文のことを”随筆”と言います

この定義の説明を受けた後、”随筆”にという言葉を辞書(大辞林)で調べてみると、そこには「随筆とは、自己の見聞・体験・感想などを、筆に任せて自由な形式で書いた文章」と記載されていました。

僕がここで注目したのは、「筆に任せて」という表現です。”随筆”を書くのであれば、事前に書くテーマについて調べて事象を掴み、一気に書くことが重要な気がします。

以前の課題「明智光秀」について書いた時は、どの事象を中心に書くのか? 迷い筆のまま書いてしまった。その結果、泰延さんからは「原書を読んでください。調べるという所まで至っていないです」とご助言を頂きました。筆に任せて書ける状態まで調べ切れていなかったからだと、今回の講義を受けて改めて反省してます。

 


泰延さん「書くことについての話で、読者はだれか? を想定しましょう。というのをよく聞きますよね」

泰延さん「では誰に向けて書くのか? 映画や本を読んで、いろんな人がいろんな事を書いています。同じポイントで感動して、詳しく解説してある文章があるなら、極論を言えば書く必要はありません。でも、自分の一番感動したポイントを書いている人がいない。あれ? じゃあ俺が書くの?」

今回、泰延さんの金言がたくさんあったのですが、自分の中で一番刺さったのが「自分の一番感動したポイントを書いている人がいない。じゃあ俺が書くの?」という言葉。

僕が今回のゼミの課題、「スリービルボード」の映画評で一気に4000文字超えの文章が書けたのは、他の方の映画評を読み漁り、もしかしたら誰も書いてない監督の意図にふれられたかも? という視点を見つけられたからです。まさに、泰延さんの言葉通り「じゃあ俺が書くか」という気持ちになれた瞬間でした。

逆に、冒頭で吐露したように、今回の泰延さんの登壇レポートで悩んでしまったのは、独自の感動ポイントが定まらなかったからです。そのスランプは過去の泰延さんの記事を読むことで回避できましたが…やはり、調べることって大切です。

ブログやツイッターなどの文章を書くときは、マーケティング担当っぽく読者を想定してー、このツイートのペルソナはー、と意識していましたが、今回は僕が僕であるために全力で書いています。

 


泰延さん「書くという行為において最も重要なのはファクト。調べたことを並べれば、読む人が主役になれる」

今回のゼミのタイトルでもある「調べること」の大切さを伺って、ほんの少しですけど、対談インタビューや映画の論評を読んだ際に、この書き手さんは事前に深く調べている人だな。と感じるようになりました。

さらに、泰延さんから調べること、書くことの心髄が伝授されます。

 

泰延さん「とにかく、”一次資料”までいけるように努力しましょう。そして、調べた事実を”エビデンスだよ”という姿勢で書くのではなく、自分の感動を探り、根拠を明らかにし、感動に根を張り、枝をはやすために調べるのです」

企業のオウンドメディア担当として取材に帯同するケースが多いのですが、取材相手のことを事前に調べているライターさんの安心感はバツグンです。その方の文章は、切り口が新鮮だったり、取材相手も信頼してくれるので、場が盛り上がります。

 


泰延さん「書くことは、生き方なんです」

元々、小学校のころから読書感想文や作文が苦手で、文から逃げるように理系の道へ進みました。子供のころから「文を書くこと」に僕はコンプレックスを抱えていました。

このレポートを書きながら記憶をたどると、本の内容である”事象”と自分の感想である”心象”の整理がうまくできず、二つがカオスのように混在して迷子になった文章を書いていたようです。(このレポートの編集チェックの時点で、同じようなの指示受けているのでまだまだ改善半ばです)

ただ、定義や構造を理解して文と向き合うことで、書くという過程に少しずつ楽しみを感じ始めています。

 

 

泰延さんはゼミではノウハウやツールの話ほとんどしませんでした。唯一のアドバイスは「マイクをあごにつけよう」ぐらいです。ライターとして今旬の具体策(こうすればフォロワー増えるなど)を求めている人からすると何も刺さらないかもしれません。ただ、泰延さんは、「読み手として書く」ご自身の生き方を編集して、僕らに伝えてくれたのだと思います。

 

 

課題「スリービルボード」の映画評について

そして、泰延さんからは今回の課題を提出したゼミ生に向けて、温かい言葉をいただきました。

ということで、泰延さんから「特にえらい!」と選ばれて入賞したのが、さかもとさん、mameさん。準優勝が3名で、島田さんと金子さんと・・・なんと! わたくし、みる兄さんも準優勝で選出されました。(面目躍如でホッとしました)

 

そして栄えある優勝はーーーーーーーー

宮下さんです。完全優勝というクオリティの映画評。文句なし。

 

優勝した宮下さんと入賞した何名かの映画評が早速noteにて公開されていますので是非ご一読を。

泰延さんのゼミの実践教材として理解が深まります。

mameさん:【スリー・ビルボード】 戦闘服を着た悪魔? リアル炎上広告にみるモンスタークレーマーの胸の内

さかもとさん:スリービルボード映画批評│3枚の広告と3人の役割考える

金子さん:少女は、なぜ母の前に現れたのか。 映画「スリー・ビルボード」評

宮下さん:「この間、とあるイベントに行ってきた」   『スリー・ビルボード』映画評

 

泰延さんが課題の映画評を読んで評価していたポイントは以下の通り。

「随筆」を書く際にチェックしたいポイントになってます。

・ちゃんと調べた他にない視点があるか

・伏線を最後に回収しているか

・他の映画評(レビュー)を読んで異なる角度で論じているか

・本筋に連動した脱線があるか

・タイトルに引きがあるか

・細かい背景、文脈、模倣に注目しているか

・引用の大元(過去の監督作品など)まで見ているか

・文中の素材の使い方を知っているか(映画では、公式サイトやIMDbなど)

・読み手に新たな発見を与えてくれるか

 

最後に・・・

過去の泰延さんのインタビューを読み漁っていた時に出会った、この言葉が僕は特に好きです。

 

「わかる、学ぶということ以上の幸せなんてないと思うんですよ。知性や教養が人の人生を面白くしてくれるし、自分の思い込みから解放してくれる

 

ここまで約4000字の文章を書いてみて「物書きは調べることが9割9分6毛」というゼミの内容が腹落ちし、明日ゼミ受講3度めの正直で、泰延さんの魅力にハマりしました。

・・・そりゃー、好きになっちゃいますね。

 

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