「理想がこもった言葉は、強い」梅田悟司さんの言葉は明日のライターの希望になる

10月にスタートした「明日のライターゼミ2018・秋」。第12回、最後の講師は梅田悟司さん。

株式会社 電通/クリエーティブ・ディレクター、コピーライター。
1979年生まれ。大学院在学中にレコード会社を起業後、電通入社。
広告制作の傍ら、新製品開発、アーティストへの楽曲提供など幅広く活動。
直近の仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」のコピーライティングや、
TBSテレビ「日曜劇場」コミュニケーション・ディレクターなどがある。
CM総合研究所が選ぶコピーライターランキングトップ10に、
2014~2017年と4年連続で選出される他、国内外30以上の賞を受ける。
著書に発売累計25万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)など。
横浜市立大学客員研究員、多摩美術大学非常勤講師。
明日のライターゼミ募集ページ「講師陣のプロフィール」より


東北6県のお祭りをあつめた「東北六魂祭」も手がけられています。

もともとはマーケティング分野が専門ということで、聡明でありながら時折ユーモアを感じる語り口が印象的でした。

講義はこんな言葉からスタートします。

コピーを書くために、コピーを書くことなかれ

半年前だったら「え?」と思ったかもしれません。しかし、受講生の多くは「やっぱりそうなのか」と思ったことでしょう。いきなり書くのではない。前段階の思考が大切なのだと学んできた証ではないでしょうか。

納得と発見に満ちた2時間、振り返っていきます。

脱・曖昧なコピーライティング

「課題」「問題」の違いは?  

こう聞かれて明確に答えられるでしょうか。なんとなく思い浮かんでも言葉にするのは難しい。少なくとも僕にはできませんでした。梅田さんの講義で特徴的だったのが「言葉の定義を明確にする」ということ。なんとなく使っている言葉を定義づけする。それができると言葉を自分の「武器」にできる。そして「再現性」を持たせられる。

コピーライターであれライターであれ「プロ」としてお金をもらう以上、「三振かホームランか」ではダメなわけです。最低限、自分が塁にでるかランナーを進めなくてはならない。それができるようになるために「どうやって価値あるものを生みだすか」という方法についての理屈を自分の中に持たなくてはならないのです。

定義づけは、言葉で仕事をするうえでの必須スキルであるということです。

引退を発表したイチロー選手も「感覚だけでは意味がない。なぜヒットが打てるのかを論理的に説明できなくてはならない」という旨を語っているのを読んだことがあります。どんな分野でも一流の人に共通した考え方なのでしょう。

梅田さんは「脱・曖昧なコピーライティング」といわれていました。


「課題」と「問題」の違いについては受講生どおしで話し合う時間も。

そして、その定義は講義で明確に説明されましたので、この後ご紹介します。

言葉は、はじまりに過ぎないがすべての起点にもなる

言葉を扱う上でもう一つ大切なこと。それは「目的」を忘れないこと。広告コピーでもWeb記事でも変わらない。言葉によって達成したいコトがあるはずです。しかし、忘れてしまいがち。「書かなくてはいけない」「原稿を埋めなくてはいけない」。「手段」としての言葉に囚われてしまいそうになる。それでは強い言葉はつくれない。たかが言葉、されど言葉。目的を持った言葉に、施策の基点となるだけの力が宿るのです。

たとえば、梅田さんが缶コーヒーブランドのジョージアで書いたキャッチコピー

「世界は誰かの仕事でできている。」

はたらく人に寄り添い、応援する素晴らしいコピーですよね。ジョージアでは、この言葉を基点に対消費者だけではなくインナー(社内・関係者)向けの応援キャンペーンも展開したそうです。「はたらくことを肯定し、応援する」という目的を考えれば社内も社外も関係ないはず。15文字の言葉がジョージアという巨大ブランドの様々な活動の基点になった。言葉の強さを実感するエピソードです。

「問題」と「課題」の違いとは? 

先に紹介した「問題」「課題」の違い。それを明確にして思考に落とし込むと強い言葉を生み出すための「コンセプト」に近づくことができると示されました。ただしい「課題」を掴むことが強い言葉を生むために重要であると。

  • 問題:今、起こっている困っているコト(現実)
  • 課題:理想と問題(現実)との間にある、埋めるべきギャップ

「商品の売れ行きが悪い」「記事のPVが伸びない」などが問題(現実)です。
問題ばかりをこねくり回しても良い方向には進みません。

売れ行きが悪い⇒売れるようにすればいい! 
PVが伸びない⇒PVを増やせばいい! 

のような思考に陥ってしまいます。

本当に大切なのは「課題」を見極めて解決してあげること。

問題(現実)は重要。しかし、課題の定義に「問題」が含まれているように課題を捉えるためのイチ要素にすぎないのです。

「問題」ともうひとつ大切なのが「理想」です。

モノや情報が増え続ける時代において、「理想」を掲げることは非常に大切だと強調されました。

僕は講義の中で、この「理想」が重要だという部分が最も印象に残りました。

理想は、精神論だったり根性論みたいな文脈で語られることが多いように思います。やみくもに進むための理由にされたり、逆に冷笑の対象になったり。梅田さんはどちらでもありませんでした。あくまで「科学的な研究も行われているマーケティングの枠組みにおける理想の大切さ」を語られていた。強い言葉を生むために、解決すべき課題を捉えるために、理想が必要なのだと。

理想を掲げるというと難しいように感じられますが、梅田さんは

現実は世の中に。理想はあなたの中に。

とも言われていた。

多くの共感が得られる理想も、1人の想いからはじまるのです。

これを聞いて、インド映画「パッドマン」を思いだしました。
安価な女性向け生理用品をインドで開発して広めた男性の実話がベースの物語です。結果として5億人の女性を救ったと言われる主人公ですが、生理用品開発のきっかけは「自分の妻を楽にしてあげたい」というきわめて個人的な想いでした。社会・世界に広がる理想も1人の想いから。

自分と向き合えばよいというのは、簡単なことではありませんができないことではない。「理想はあなたの中に。」は希望にあふれた言葉なのです。

事前に出された「2021年の日本に期待したくなるコピー」という課題のフィードバックも「理想」を提唱できているか? という目線からの言葉が多かった。自分が作るもの、世の中にあるものの価値を考えていくうえでも大切な視点をいただいたように思います。

「書いて実現したい理想」を探す旅

「明日のライターゼミ2018・秋」の全講義が終了しました。

僕個人の話をすると、講義や課題に真剣に取り組んだ結果、こうして講義レポートを書かせてもらったり、街角のクリエイティブで映画評を書かせてもらえるようになりました。運がよかったと思いますし、いやいや運だけでもないよ。なんて大それたことを思ったりもします。

真剣に取り組めたのは、講師のみなさんが「書くとはどういうことか」について真剣に伝えてくれたからだと思います。

  • ある人は「書くことは、世界に変化を与えることだ。」といいました。
  • ある人は「書くことは、自分が何者であるかを伝えることだ。」といいました。
  • ある人は「書くことは、生き方だ。」といいました。
  • ある人は「書くことは、解決することだ。」といいました。
  • ある人は「書くことは、なぜ書きたいかを考えることだ。」といいました。
  • ある人は「書くことは、言葉で理想を語ることだ。」といいました。

すべての言葉が心を打ちました。借り物ではない「書くこと」と向き合いつづけたからこその言葉だからなのだと思います。

「明日のライター」としてバトンを渡された僕たちは

「書くことは、   」

という、自らの理想を探しつづけなければなりません。その自問自答こそが「明日のライター」にとって必要なことなのかもしれません。

ひとりで見つけるのは難しいかもしれませんが、同じ半年間を共にした仲間ができました。年齢も経歴も様々ですが「書く」で繋がる仲間の存在は励みになるだろうと思います。

今この瞬間も「書くことに真剣に向き合う」仲間の存在を感じながら、自分だけの言葉を探す旅は続いていきます。

そして「明日のライターゼミ」も新しくなり、続きます。

参加しやすく、より実践的に! 新しい明日のライターゼミ

先日、子どもの保育園の入園・進級式がありました。初々しい姿でランドセルを背負った子どもたちが印象的でした。僕自身の子どもにとってはもう少し先の姿ですが。

当たり前の話ですが、彼・彼女たちはその少し前に卒園したことにもなるわけです。

「春は出会いと別れの季節」

使い古された言葉も、希望に満ちた子どもたちを見ていると新鮮に感じられました。

出会いの季節でもある春5月、新しい明日のライターゼミが始まります。

ライティング・編集の第一線で活躍されている方が講師という形式は同じです。2018・秋が行われていた半年間でお名前をよく見かけるようになった方も講師になっています。スピード感・フットワークの良さは目まぐるしく変化する時代でとても重要ですよね。

僕が大きな変化だなと感じたポイントをまとめてみます。

  • 半年間の会費制→月額制に
  • 月額課金により、継続性が高まりました。これまでは、半年間限定。期間があったことで集中して取り組むことができた一方で、途中参加のハードルもあったと思います。月額制で、間口がとても下がりました。極端な話、少し忙しいからこの2か月間はいったんお休み。みたいなこともできる。自分のスタイルで受講しやすくなりました。

  • 全講義、事前課題・添削あり
  • 振り返ると「課題がある講義は大変だったけど、一番身になった」と確信しています。理解の深さがまったく違います。良し悪しよりも「自分のアウトプット」を通じて内容を振り返ることができるからなのだと思います。月1回の講義で必ず課題に取り組む。より実践的になっています。

    僕が映画評を書くようになったのも、課題がきっかけ。課題は大きなチャンスでもあります。

 
 
学びを中心としたこれまで同様の「アカデミー会員」と、実務として編集・ライティング・校正に関わり書籍の出版チャンスもある「クラウド編集部」という2つのコース分けにもなりました。それぞのコースやその他詳細の確認・入会は募集ページをご覧ください。

明日のライターゼミ「アカデミー会員」→募集・入会ページ
明日のライターゼミ「クラウド編集部(入会審査あり)」→募集・入会ページ

僕も入会しました。妻の了承という最大ハードルをクリアできたからです。同じハードルをもつ皆さん、頑張りましょう! 

新しい明日のライターゼミでは、どんな仲間と出会えるか。そして、どのように変化した自分に出会えるか。本当に楽しみです。

明日のライターは僕であり、あなたでもあります。

共に進む仲間をお待ちしています。

ABOUTこの記事をかいた人

金子ゆうき

愛媛県在住の会社員時々ライター。新潟県にうまれ、東京での求人広告制作・コピーライター・販促プランナーを経て妻の地元愛媛県に移住。座右の銘は「ユーモアを忘れずに」